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時間泥棒なドラマ"UP LOAD"

お題「好きなシリーズもの」

シリーズもの苦手なわたしが一気見した作品

洋画を観るときはほぼ必ず字幕で観る。
吹き替えは楽で良いんだけど、字幕で観た方が俳優の声も聞けるし英語もなんちゃらラーニング的に知らぬ間に身に付くんじゃないかと淡い期待を抱いている。字幕で観る事の欠点は、映像と文字の両方を追わなくてはいけないので邦画や吹き替えの映画を観るよりも圧倒的に疲れること。
だからわたしは大学生の時に友達と挑戦して、お互い後に引けなくなってしまって完走したオールナイトでのスターウォーズシリーズ鑑賞会以来、シリーズものの映画やドラマを一気見したことがほとんどなかった。(鑑賞会後2日くらいは頭が回らなくて、一気に観たせいで理解も曖昧)

そんなわたしが一晩で観てしまったドラマがある。めちゃくちゃ面白い。でもシリーズもので、シーズン1はめちゃめちゃ良いところで終わるのでいまは生殺し状態である。早くシーズン2を観たいけれど、コロナのせいで結構時間がかかるんじゃないかと思っている。コロナが憎い。
そもそもシーズン1が公開されたのも、ゴールデンウィークが始まってすぐくらいだったらしい。まだ2週間くらいしか経ってないからマイナーだけど、これから一気に話題になるんじゃないかと思っている。(実際、先週の金曜日には10件もなかったはずの作品のコメントが、いま見たら60件になっていた)

近未来、デジタルなあの世ができた世界を描く、"UP LOAD"

その作品はアマゾンオリジナルなので、Amazonプライムビデオに加入しないと見れないのだけれど、加入してでも観る価値があるくらい面白いと思う。

作品の名前は"UP LOAD"。邦題だと、「アップロード〜デジタルなあの世へようこそ〜」という邦題あるあるなダサい副題がつく。舞台は2033年の近未来、死後に自分を仮想現実の世界へ"アップロード"し、永久に生きることができるようになった世界。死後の世界に行けるのは金銭的に余裕のある者ばかりだったが、主人公のネイサンはプログラマーで、みんなが平等に暮らせる(ここら辺は詳細が描かれてない気がする)仮想現実を完成させる間近だったが、事故を起こすはずのない自動運転の車を運転中に事故で亡くなってしまう。意識はあったものの、かなり怪しい状態だったのもあって、治療をするか、"アップロード"するかの選択を迫られる。(アップロードをすると治療ができないので確実に死ぬ)ネイサン自身は裕福ではないためお金のかかるアップロードに躊躇もするが、お金持ちのイングリッドの強い勧めで、半ば強引に富裕層向けの超高級あの世「レイクビュー」にアップロードされる。
一方、レイクビューの運営会社で働くノラは、弁護士になる夢を諦めて大学を中退し、「レイクビュー」のコンシェルジュ、通称"エンジェル"として住民のわがままに対処する毎日を過ごしている。そして、たまたまアップロードされたネイサンの担当になる。初めはビジネスライクな関係を突き通すものの、「レイクビュー」には珍しく若く、そしてちょっとイケメンなネイサンに興味を持ったノラは、ネイサンの死に隠された陰謀に、気づかないうちに巻き込まれていくーー。

まだ存在しないのに共感できるあるあるの数々

めちゃめちゃ長いあらすじになってしまったけれど、SF、ミステリー、コメディ、ラブロマンスという、「きっと、うまくいく」ばりの要素全部乗せ!マシマシ!みたいなドラマです。

このドラマはめちゃぶっ飛んだ設定のはずなのに、なぜか「あ〜あるある〜〜」って思ってしまうところがすごい。たぶん”2033年”という時代設定が絶妙なんだと思う。いまある技術の発展系みたいなものしか出てこないし、iPhoneに始まり、スマートフォンガラケーを10年で駆逐する過程を見てきた人間としては、2033年に自動運転や主人公たちが使うデバイス(人差し指と親指でL字を作ると仮想画面が浮かんでくる)があっても全然不思議ではないと思う。しかもポッド型の自動運転の車に紛れて普通の車が走っているのも妙にリアル。なんかわかる。ありそう。みたいなネタがめちゃめちゃ出てくる。あの世を運営してる会社にFacebookInstagram、ディズニーの名前が入ってたりする。(もちろん現在のサービスの名残を感じさせるあの世を提供している)

そしてやけにリアルで怖いのが、あの世は基本的に課金制で、あの世にも貧富の差が存在すること。死んでいるので基本的に空腹になったり餓死することはないし、基本料金込みの食事サービスや無料のアトラクションはあるけれど、お酒を飲むにはお金がかかるし、服も新しいものを着たければお金が必要。そしてそのお金は自分の貯金または生きている契約者が支払う。さらに怖いのは、契約者はアップロードされた人間のあの世での生殺与奪の権利を持っていること。契約者のお財布事情が厳しくなったら週3日以外は電源を切って、料金を節約することも可能になる。まじアバター。怖い。登場人物は結構ガンガンわがまま言ってるけど、わたしだったら絶対無理…と思ってしまう。お金払ってくれている人に気を使いすぎて死して尚病気になりそう。
電源を切るだけならかわいいものかもしれない。主人公がいる富裕層向けのあの世にさえ、"2GB"と呼ばれる世界が存在する。「レイクビュー」には行けないけれど、とりあえずアップロードしておきたい、みたいな人がいくところで、毎月2GB分しか行動できない。容量を超えるとポリゴンみたいになってしまったり、完全に停止してしまう。(プリペイドで課金すればその分は動けるようになるけれど、それはそれで恐ろしい制度)。「レイクビュー」では豊富にある暇つぶし用のコンテンツも本ぐらいしかないし、その本ですら、お試しページ以外は課金しないと読めないという鬼畜の所業。

天国の皮を被ったディストピア

最初はえ〜めっちゃいいじゃん〜こういうサービス現実にも早くできないかな〜〜とか思っていたけれど、後半になるにつれて負の部分が見えすぎていや、あってもやらないかもな…と思うようになってくる。こんな世界になってしまったら、きっと老後の貯蓄2000万どころか、死後の貯蓄が5000万くらい必要になるんじゃないか。じゃないときっと人に迷惑をかけてお金を払ってくれる人の顔色を伺う地獄に入ってしまう。

 物語中ではアップロードされてから働いている人はいないけど、課金のために働こうとする人とかが出てきたら、生きてても死んでても変わらない世界になってしまうとか考えると怖い。死ってなんだよ、ってなる。救済にはきっとならない。そう考えるとわたしにとっては"2GB"が一番天国に近いかも…。何もしなくていいし…。でも"2GB"、考えごとするだけで容量減ってたな…。
あと死人にも働かれたら生きてる人できることないな…。そしたら仕事もないから人がいる意味がなくなって出生率もどんどん減って、いつか"アップロード"が現実世界に成り代わって、そうなるとアップロードされたのが早い順とかで世界の序列ができそう…。いや、そうなる前に生きている人間vs亡者の争いが起こるのか…?とか脳内シミュレーションが止まらない。

そんな感じで一見天国だけどやっぱりいろいろ考えるとここはディストピアなのでは?と思わせられる要素もいっぱいある世界のお話で、ここでは紹介しきれない事件が盛りだくさんなのでぜひ見て欲しい。
あともう一個おすすめできる要素として、俳優がなんとなく日本のタレントさんとかに似てて親しみが持てる、っていうのもある。完全に個人的な見解だけど。主人公のノラはどことなく女優の杏に似てるし、ネイサンの彼女のイングリッドは顔がローラっぽい。「レイクビュー」のポーターはちょっとザキヤマに似てる気がする。(もっと似てる人もいそう)

完全に時間泥棒な映画なので、休前日とかに見始めるのがいいと思います。あ、でも1話30分くらいの気軽に見れる長さなので、理性がめちゃくちゃあるならいつ観始めても大丈夫。友だちにも薦めまくろう。