左端を探して

見つけたら教えてください

「堅実」って褒め言葉なんですか?

占いをすると、結果に必ずと言っていいほど出てくる言葉がある。

「あなたはとても堅実な性格で、危ない橋は渡ろうとはしません」、「こつこつと積み上げていくことができる努力家で、晩年には大きな成功を収めるでしょう」。

「堅実な性格」、「努力家」って、大体みんなそうじゃん?と思ってしまうせいで、「うわ〜こいつの運勢つまんねーな、書くことないから堅実って書いとくか〜」みたいなノリで書かれてるんじゃないかと思ってしまう。

というか堅実さって、一般の企業に勤めてる人とかにはだいたい標準装備されているものでは?え、それとも堅実さが欠如してる人って思ったよりいっぱいいて、わたしが思ってる三日坊主とそういう人が思っている三日坊主はもうレベルが違うとか??わたしはブログ作った瞬間1記事書いて1週間くらい放置するレベルの三日坊主だけど、真の三日坊主だとブログ作ろう!と思った瞬間に三日寝かす、みたいなことをするとか???堅実さのあるわたしがボーナスを頼りにしたお金のやりくりで生活してるってことは、堅実さがない人は毎月クレジットカードの請求額が手取り額超えてるとか????

と考えてしまうので、「あなたは堅実な性格です」という言葉の裏に「(標準装備の性格をわざわざ言わなくてはいけなくらい)面白みのない性格ですね」とか「そんな地味な生き方で楽しい?」みたいな侮蔑の意味を過剰に感じ取ってしまう。

堅実の意味を改めて調べてみた。

堅実

[名・形動]手堅く確実なこと。確かであぶなげのないこと。また、そのさま。ーデジタル大辞泉

言葉の意味を酌むなら、「安定した性格ですね」、「失敗の少ない人生を送れそうな性格ですね」みたいなことを言ってくれた方がまだ嬉しいけれど、おそらく堅実さとは時代の波に乗り遅れるリスクにもなりうる要素だから、そうは言えないんだろう。終身雇用制度が絶対だった時代の、THE 昭和の褒め言葉、という感じがする。地元のインフラ企業等に勤めていて、給料はめちゃめちゃ高いわけではないけど生活がジリ貧ということもなく、酒もギャンブルもしない、他所で愛人を作っているわけでもない、家では新聞かテレビを見て、無口で話も面白くないけど、暴力を振るったり威張ったりもしない、いわゆる普通、無難なお父さんを家庭外の人が見たときに使いそうな言葉だな。

そもそも実際の生活の中でも、「堅実」という言葉を良い意味で使っている場面を観たことがないし、自分であまり使った覚えもない。いま思い出せるとしたら、付き合いたての恋人の(わたしから見たら)独善的なドケチエピソードを「ふたりの将来のことを考えて節約してくれてるの」と恋愛フィルターに包んでうっとりとした瞳で話してくれた友人に「け、堅実な人だね…」と苦し紛れに言ったくらいか。これも精一杯の良い意味のオブラートに包んだ言葉であって、わたしが短気でストレートな物言いをする人間だったら「そんなつまんねーやつ別れてしまえ」とその場で言ったに違いない。(実際、そのカップルはしばらくして金銭感覚の違いで破局した。)たしかに、その場で波風を立てないために「堅実な人」というワードを選んだという意味では、わたしは少しは堅実なのかもしれない。

周りの友達が、「あなたは生まれ持った才能があり、天才肌な性格です」とか「華やかでモテすぎるので結婚後は異性関係に気をつけましょう」とか「デザイナーや芸術家に向いています」と楽しそうに占いの結果を読み上げる中、わたしは「あなたは確実に勝てる勝負しかしない性格で、人生のテーマは忍耐と努力です」、「奥手で地味なので恋愛はあまりしませんが、恋人や家庭ができると大切にします」、「役人やプログラマーといったルーティンワークが得意で、転職や企業は向いていません」という絶望的につまらなさそうな人生予測を読まなくてはいけない。「あなたは社会から見たら代わりのきく歯車の一部になる運命なので、まあ、諦めてどっかで妥協してでも結婚して、家庭に楽しみを見出すんだね。真面目さと忍耐力だけが取り柄だからこつこつやれば目指せるんじゃな〜い?大器晩成とか?笑」みたいな執筆者の声が読んでいるうちに聞こえてきて、スマホのディスプレイを割りたい衝動に駆られる。THE 昭和の幸せじゃん〜〜こんな時代もはや誰もそんなの求めてね〜〜〜という感じである。

だいたい、散々なっがい見難い表の中から数字を探させて誕生日に足させたりなんだりしておいて、最後の最後で急に生まれ年で二分するのは強引すぎるでしょ。占いなんて絶対に信じないからな、という決意を新たにした夜でした。自伝かけるくらい破天荒な人生を送りて〜〜〜。